皆さまお変わりないですか?もうすでに暑い日もありますが、エアコンいらずの貴重な時期ですね。
お気に入りの縁側で読書にも最適な今日この頃。また読みたいなと思う本があります。映画『銀河鉄道の父』の公開を知り思い起こした、宮沢賢治の代表作ともいえる「銀河鉄道の夜」。10代の頃に読んだ私の最も好きな小説の一つです。
幼いながら、苦しい境遇に耐えひたむきに生きる主人公ジョバンニ。傍らで静かに見守る幼馴染のカンパネルラ。ある夜の事件をきっかけに、二人は銀河鉄道に乗って旅に出ます。ジョバンニの日常、銀河鉄道の旅は夢の中にいるようなふわふわとしたファンタジーそのものでありながら、人物それぞれが垣間見せる心の動きが優しく率直で、水面に広がる波紋のように静かに胸を打つのです。「ほんとうの幸(さいわ)いとは何か。」「だれかのほんとうの幸いのためならいくつでも命を差し出したい」旅の中でさまざまな感情が沸き上がるジョバンニ。幼き心の葛藤と決意が、同じく成長しようとする当時の私の心と連鎖していたように思います。賢治と父の物語『銀河鉄道の父』はたして観るべきか観ざるべきか。
私にとって、美しいファンタジーの秘密を垣間見るような、解き明かしたくない謎を解こうとするような。そんな小さな畏怖を感じてしまいます。しかしきっと観に行くことでしょう。ファンタジーとは決して解き明かせない誰の心にもある宇宙であり、私の心の宇宙を再び思い出させてくれるきっかけとなるに違いないのですから。
編集長S

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