· 

編集後記vol.35

 夏到来!県外に出られている学生さんは帰省の時期でしょうか。

かくいうわたくしも大学生時代、夏休みになるとここ新潟に帰省し、自堕落な生活を送っていたことを思い出します。

高校生まで、世の中の常識も分からずにのほほんと過ごしていた私。加えてそそっかしい性格なこともあり、東京での一人暮らし生活は常に危険と隣り合せでした。

いくつか印象に残っている出来事があるのですが、今思えば恐怖というより笑える話を一つ。当時携帯電話ではなくPHSを持っていた私。電車に乗れば50%の確率で傘を忘れてしまうような人間が、無くさない訳がありません。案の定どこに行ったか分からなくなり、途方くれる私を案じた友人が、良かれと思ってそのPHSに電話をかけてくれました。すると男の人が出て、親切に対応してくれたとのこと。そして何を思ったかその友人は、私の住所を教えてしまったのです。

当時はそこまで個人情報に対する危機管理が無い時代でしたが、あわてた私が自宅アパートに戻ると、夕暮れの中、怪しげな二人組が佇んでいます。

スキンヘッドと無精ひげの二人を確認した私は卒倒しそうになりながら、ありがとうございますと手を差し出します。よく見ると、かの「たけし軍団」の井出らっきょとグレート義太夫そっくり。まさか本物かと観察するとどうやら別人の模様。しかし中々こちらに渡してくれません。「俺ここ来たことあるよなぁ。」と謎の言葉を繰り返しだす井出らっきょ。義太夫の方は「おねえちゃん、○○新聞とってる?」そうです。あろうことか新聞の勧誘員さんだったのです。「ああ、前にお断りしましたよ」と引きつった笑顔で覚えのない問答を繰り返し、震える声で「すみません」と半ば強引にPHSを手に、部屋へと入っていきました。その後は怖くてカーテンを閉め、夜までまんじりとも出来なかったことを思い出します。失敗を繰り返し、危険な香りを何度もかぎ分け、少しずつ大人の階段を上っていった当時の私。田舎に帰省する学生を重ね、ひそかにエールを送るのでした。

編集長S