
今月のアクティブシニア、渡辺アロマさんの記事は読んでいただけたでしょうか。遠いスリランカという地でご主人と出会い、何もわからないままに35歳で日本での生活をスタートさせたアロマさん。様々な障壁があったことは多言を要しません。ましてや田舎であればことさらに物事は困難であったことでしょう。急激な変化に体もついていけず、ひどい貧血に悩まされ、医師からは帰国して太陽を浴びるよう指示されたこともあったとのこと。そんな中、彼女を助けたのは深い信仰と希望の心でした。彼女が見せてくれた二枚の写真が印象的に残ります。一枚目は近所の人が放し飼いにしているという猫たちの写真。いつでも餌を求めるその群れは、まるで難民キャンプのようだと言います。私たちが同じ光景を目にしたとき、はたしてそのようなイメージが浮かぶでしょうか。もう一枚の写真は、道端に佇む枝をそがれた一本の木。しかしよく見ると、新しい青々とした葉が幹いっぱいに顔を出しています。「太陽に向かって力いっぱい生きようとしている。私はいつもこれを見て、私のいる場所にもこんなに力強く、美しいものがあるのだと思っています」そう話すアロマさん。
何を見て、何を糧とし、どう生きるのか。その道の険しさに変わりはなくとも、心だけは私たち自身が自由に彩ることができるのです。輝くような彼女の笑顔は、感謝と慈愛に満ちていました。