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編集後記vol.49

私の生まれ月の9月。1番好きな季節、秋を運んでくれる時期になりました。過ごしやすい夜にゆっくりと観ていただきたい美しい映画「me before you / 世界一キライなあなたに」をご紹介したいと思います。

2016年のイギリス映画ですが、美しくも切ない物語に涙が止まりませんでした。事故で四肢麻痺となってしまった富豪の青年ウィルと、その介護に雇われた若いルー。生きる希望を失い、心を閉ざしたウィルですが、ルーの明るさに徐々に心を開いていきます。やがて2人は愛に気づきますが、相容れない未来が現実としてり…。そこには互いの家族を含んだ尊厳死という深いテーマも紡がれています。最後の一葉の行方は、そしてルーは果たしてどのような決断を下したか。

「愛とは決して後悔しないこと」。古い映画「ある愛の詩」のセリフを思い出しました。愛とは最期まで想いを貫くこと。そして相手を変えようとするのではなく、その生き方を尊重することなのだと今は思います。生とは。人間の尊厳とは。どれほどの人が常識という偏見を捨て、自分のまっさらな心に問いかける機会を持っているでしょうか。目の当たりにした時にはじめて向き合う人がほとんどかもしれません。「尊厳死」という日本ではまだ鍵のかけられた概念。あなたはどのように考えますか?