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編集後記vol.50

木漏れ日に哀愁を感じる10月。カラフルな街並みが少しセピアを帯びたようにも見えます。今月は父の3回忌。

月日の早さに驚くとともに、その存在の変わらない温かさを感じます。父が病に伏してからは、私自身は激動の毎日でした。引き継いだ慣れない会社経営に加え、私生活でも困難の連続。そんな中でも父には心配をかけまいと気丈に振舞ううちに、いつしか心に強固な壁を作っていってしまったように思います。どんな状況でも強い気持ちで頑張らねばならぬと自分に言い聞かせ、その一心で来てしまったのかもしれません。それは父が亡くなってからも変わりませんでしたが、たまらず「私は苦しむために生きているのか」と遺影を前に涙する日もありました。時に心配そうに、時に安心したように見守る父のまなざし。

そんな中で少しづつ私の心が変化してきました。今までできなかった弱音を吐いたり、助けを求めたり…

気持ちを正直に吐露することで、自分自身と向き合うことができるようになったのかもしれません。

そうすると不思議なことに、見えていなかった幸せや感謝が見えてきたのです。3回忌を迎える今、

あの頃とは違う自分がいることに気づきます。父のやさしさを励みに、その強さを勇気に。

今あるすべてに感謝して、胸を張って私の人生を歩んでいこうと思います。