vol.55 長岡市在住 加藤 博久さん(74歳)


読むことから、語ること

表現朗読の愉しさを伝えたい。

1951年神戸市生まれ。幼少期に長岡へ移り住む。

学生時代より放送劇・演劇活動を始め、朗読にも興味を持つ。高校卒業後は家業を手伝いながら活動を続け、やがて「声を出すこと」を生業とする。近年は自身の朗読公演を行うほか、カルチャースクールなどで朗読教室の講師を務めている。

2019年「青空文庫朗読コンテスト」全国優勝。

 

朗読催事集団「つどい言の葉」主宰。朗読家。


Q:学生時代は朗読ではなく演劇をやられていたのですね。

高校卒業後、高校時代の恩師に誘われ「長岡演劇研究会」を一緒に立ちあげました。朗読については同じく卒業後に池端愛子氏に師事し、学び始めました。当時は家業の急便業を手伝いながら、仕事が終わってから夜に演劇の稽古をする日々。本当は東京の大学に行きたかったので「俺の人生こんなもんじゃない!」というモヤモヤを抱えながら毎日を過ごしていましたね(笑)

Q:その後、イベント事業をプロデュースする会社をされていますね。

イベント事業に関心があり、33歳のときに「アクターズプロ」という会社を立ち上げました。約10年間は調子が良かったけど、バブルが崩壊してから芸能人を呼ぶことも難しくなり、興行的に厳しくなりました。正直、先が見えなくて眠れない夜もありましたね。現在は個人事業に戻し、主に朗読活動に専念しています。

令和5年 朗読落語「井戸の茶碗」を演じる加藤さん


Q:朗読はシニアの間でも大人気ですが、朗読の魅力は何でしょうか?

まず、年齢を問わず本一冊あれば気軽に始められること。同じ作品であっても、読み手によって声の抑揚・間(ま)・息づかいが異なり、聴き手にまったく違う感情や空気感を届けられる面白さがあります。

人前で朗読するのは緊張しますが、読み終えたときの達成感や高揚感を味わえるのも魅力です。また、朗読をする作品を探す過程で、これまでに知らなかった作家の本に出会い、自身の世界観も広がりますよ。

紆余曲折を経ながらも自分の人生を切り開いてこられた加藤さん。

「さまざまな仕事をしてきましたが、ようやく今、これが自分の“天職”だったのだと、改めて思うんです」と語ってくださいました。これからも愛する朗読をさらに極めていってください。